近年倉庫や工場計画を検討する際、コストの削減を目的にシステム建築が選択肢に挙がることが増えています。
また、貸倉庫としての付加価値を高めるためや、ロジスティクス市場の需要に対応するために冷凍冷蔵倉庫の建設需要も増加しております。
そうした中で、-40℃帯を備える冷凍冷蔵倉庫をシステム建築で納めさせて頂いた事例をご紹介します。
冷凍冷蔵に対応したシステム建築
冷凍冷蔵倉庫を始めとする設備の導入負担が大きい倉庫は、設計や施工段階での調整が重要になります。
川田工業は、システム建築という鉄骨重量を軽減する建築工法を用いて倉庫や工場を中心に建築を手掛けるゼネコンであり、意匠や基礎を始めとした、建物全ての設計を行います。さらにゼネコンとして電気設備等も含めた元請体制で取り組む事で、物流施設の多様化するニーズに応えてきました。
元請として設計施工でシステム建築を提供するシステム建築「ゼネコン」だからこそ、システム建築工法を活用し、-40℃帯の冷凍冷蔵設備も備えた多温度帯物流施設を納めることができました。
計画の背景
まずは、本建物がどのような建物で、どういった計画で進めていくことになったかをご紹介します。
計画変更にも柔軟に対応
本プロジェクトは、デベロッパー様よりご依頼のあったプロジェクトの1つで、本浦和プロジェクト(後の岩槻共配センター) は、当初2テナント用の一般的な常温倉庫の仕様で計画が進んでおりました。
しかし、計画途中に北王流通株式会社様の入居が決まり、倉庫の大部分が冷蔵・冷凍倉庫仕様に変更されることとなりました。
検討を重ねた結果、鮮魚の長期保管など様々な荷物の保管に対応するために、-40℃、-25℃、5℃、常温の計4つの温度帯を備える多温度帯物流施設とする計画で決定しました。
冷凍冷蔵倉庫を滞りなく納めるために
基本計画の途中で変更があったとしても柔軟に対応できるのが、川田工業が設計施工でシステム建築を提供する上での強みです。
冷凍冷蔵設備関連の工事は、建物を引き渡した後にテナント側で行う、いわゆるC工事で進められるケースも多くあります。
しかし、冷凍冷蔵設備と建築工事は結露対策や凍上防止を行う上で技術的に干渉する部分も多く、設計や施工中の段階から密に連携していくことで、より建築物としての品質を高めることが可能になります。
各課題への対応
その為には、庫内オペレーションの効率化のために以下のような形で設計を行い、工事を進めていく必要がありました。
・一時的にオリコンを仮置きするスペースを確保すること
・オリコンに付着する氷を処理する問題の解決
・将来的な作業効率化のためにソーターを設置するための準備対応
・断熱パネルの選定
・床下の凍結防止措置
・倉庫間の結露対策
上記のように設計段階や工事段階で表出してくる様々な課題に対して、冷凍冷蔵設備業者様と互いに知恵を出し合い、両社が持つノウハウを活かした提案を行う事で解決していくことができました。
倉庫の早期稼働への貢献
計画投書より懸念されていた完成後の冷やしこみ期間(庫内の試運転と庫内の計画的な冷凍・冷蔵化)も、冬季中の竣工に調整することができた為、当初予定よりも早期の稼働を実現することができました。