
「システム建築」の採用を検討されている方に向けて、一般的な建築工法との違いや、システム建築を提供する事業者の種類などをご紹介いたします。
システム建築とは
建物を構成する鉄骨・屋根・外壁などの標準化を進め、設計・製作・施工の各プロセスをシステム化した建築工法です。
「安定した品質」、「短工期」、「低コスト」を実現し、倉庫や工場などの産業用建築物でメリットを強く発揮できます。
完全に規格化された部材を工場で製作するプレハブ工法と、全て現場で組み上げる在来工法の中間的な位置づけの工法です。
システム建築のメリットとデメリット
システム建築は、提供する事業者によってメリットとデメリットに差はありますが、概ね以下の通りとなります。
メリット
1.高品質
標準化された部材を用いた重量鉄骨構造と、それに接合される屋根材や外壁材も標準化されたものを使用する事で安定した品質の建物を提供することができます。
また、近年では標準化の幅も広がりを見せており、店舗や体育施設を始めとした様々な用途や2階建ての建物などにも対応が可能となっています。
2.短工期
設計から施工プロセスの合理化により、工期短縮が可能です。
標準化によって設計や施工手順が効率化されており、一般的な在来工法とシステム建築を比較した場合工期が短くなるケースが多いです。
3.低価格
使用部材の低減と工期短縮により、コスト削減を実現します。
建築物は、多種多様なモノの組み合わせであり、多くの人手と時間を要して作られます。その為、コストの大半はモノと人手と時間によるものです。
システム建築は標準化によってモノを減らし、省力化の実現で必要な人手と時間を削減することで、低コストを実現することが可能になります。
デメリット
1.規模の制約
重量鉄骨を柱や梁に使用する為、軽量鉄骨造や木造で建築可能な小規模な建物には価格や工期などで劣る傾向にあります。
また、5階建て以上の建物や住居などは鉄骨造よりも鉄筋コンクリート(RC)造が適したケースが多いです。
そのため、システム建築は1~2階建ての倉庫や工場、店舗などの一定の広さを要求される低層の建物で多く採用されています。
2.構造の制約
構造計算の最適化や部材の標準化により、柱の配置や寸法に制約が生じる場合があります。
例えば、柱と柱の間の経済的な間隔が決まっている場合や、柱の大きさや梁の大きさが決まっている場合があるため、
構造体のレイアウトに一部制約がある場合があります。
3.デザインの制約
部材が標準化されていることによって自由度が低下し、意匠的な表現に制約が生じてしまいます。
デザイン表現をする場合、意匠設計者と施工者側で入念な打ち合わせや施工手順の検討が必要になり、価格や工期にも影響があります。
また、部材も標準化されており、メーカーとして施工者に標準化された部材を納めることが多いシステム建築においては、デザインをあしらった建物は少ない傾向にあります。
システム建築事業者の分類
システム建築を提案する事業者にはそれぞれ違いがあり、概ね以下の3つの業態に分類されます。
システム建築「メーカー」
システム建築の施工実績の大多数を占める提供形態です。
建物の主要部材である屋根・壁・鉄骨・建具等を工場で生産し、提携するシステム建築「ビルダー」に納めます。
規格化や標準化が追求され、システム建築のメリットやデメリットがより顕著に出る傾向にあります。
ほとんどの場合、各メーカーが提携する工事施工店会が組成されており、そこに所属するシステム建築「ビルダー」と連携して建物を提供します。
システム建築「ビルダー」
システム建築「メーカー」から建物の主要部材を受け取り、建物の主要部材以外も含めた建築計画全体を取りまとめる総合建設会社の事を指します。
建築計画に関する建築主との調整は「ビルダー」が中心となって行うことが多いです。
システム建築「メーカー」の工事施工店会に複数所属する総合建設会社も多く、各「メーカー」の強みや特色に応じてお客様の要望に対応する建設会社も存在します。
システム建築「ゼネコン」
システム建築を総合建設会社として一括提供する形態です。
システム建築の主要部材製作はファブレス化されていることが多く、設計と施工プロセス面において強くメリットが発揮される傾向にあります。
設計や施工が自社で可能な為、建築工事において非常に重要な設計と施工における調整機能が円滑に働きやすく、「メーカー」が提供するシステム建築よりもある程度の柔軟性を持つことが可能です。
建築計画全体のコントロールも行う為、全体最適の視点で提供することが可能です。
川田工業のシステム建築とは
システム建築「ゼネコン」として、設計から施工まで一貫して行うOne stopシステム建築を掲げています。
1991年に米国由来の技術であるシステム建築を日本に輸入し、それから今に至るまで、日本の建築主様の要望に応えられるよう、技術開発を続けてきました。
建築物を「安く」「早く」だけでなく、大事な資産として長く使って頂くために、建物の価値を高められるような利便性やデザイン性も追求しております。
建築計画をプランニングするところから竣工後のアフターサービスまで一貫して行うため、年間の実績数は多くありませんが、お納めさせて頂いたお客様のほとんどからリピートを頂いております。

システム建築に適した建物用途
倉庫
システム建築のメリットを最大限活かすことが可能な建物の一つが倉庫です。
標準化された構造体や屋根材、外壁材の採用が行いやすく、荷物の保管効率を向上させるために建物が複雑な形にならないことが主な理由です。

工場
システム建築のメリットが活きるもう一つの建物用途が工場です。
倉庫と同様に標準化された構造体や屋根材、外壁材の採用が行いやすく、設備レイアウト効率を考慮すると3階建て4階建てと複層構造になるよりも、平屋建てや2階建てのようにできる限り平面で計画されることが主な理由です。
